もっと薄い敷布団にできますか?
8年ほど前に、ベッドで使用する薄い敷布団が欲しいとのご依頼でお作りした薄型敷布団。だいぶん汚れてきたので、この夏の間に打ち直し(お仕立て直し)して欲しいとのご依頼がありました。
お預かりした敷布団
この敷布団をご使用されているご主人が、体調を崩され介護が必要となり、お布団干しも奥様が担当されることとなり、この敷布団でも重く感じるのでもう少し軽く仕上げて欲しいとのご依頼でした。
もともと薄型にお作りしていたので、中綿も3.2kgしか入れていません。それでも重く感じるとのことでした。「ただ、これ以上薄く仕上げると就寝時に床つき感が出てしまいますがよろしいでしょうか?」と、お尋ねしましたが…、
ベッドマットもあるので、多少の床つき感は結構です。私も(奥様)も70歳代で年々腕の力が弱くなり、お布団干しが辛く感じるので出来るだけ軽く、でも敷布団の素材は「綿」でないと身体が安まらないので…とのお話だったので、もう600g中綿を軽くして中綿2,6kgに仕上げることにしました。
(通常、敷布団の中綿は、5.2~5.5kgぐらいに仕上げます)
敷布団を軽くする方法としては、綿わたより化繊わたを多くすることで敷布団のヘタリ具合を減らしながら軽量化が図れます。
ですが療養用にご使用されるとなると、寝ている時間が長くなります。化繊わたを多く使用すると、敷布団が寝汗を上手く吸ってくれずお布団の中の「蒸れ感」が増し寝にくくなります。(化繊わたには吸湿性がありません)
そこで今回は、足し綿に「良質の綿」を多く使用するようにして、出来るだけ寝汗をよく吸うように仕上げる事にしました。
また、混綿率が綿100%に近い程、肌の刺激も無くなります。
お仕立て直し後の薄型敷布団(1)
お仕立て直し後の薄型敷布団(2)
このようにして仕上げた敷布団、通常仕上げの敷布団と比較しても随分「薄く・軽く」なりました。
左が通常の敷布団、右側が今回お作りした薄型敷布団
比較すると厚さが随分違います
お客様のご要望で、敷布団の側生地を返却します
仕上った敷布団をお客様宅へお届けしたところ、思っている以上にふっくらと綺麗に仕上がったとご満足頂きました。
「綿」が身体にやさしく心地よい訳
綿繊維の撚り(700倍)上は通常の綿せんい・下は未成熟の綿せんい
「綿」の繊維を拡大してみると、繊維1本1本に「天然の撚り」があります。
この「撚り」が、身体を優しく包み込んだり、力強く支えてくれたりします。
綿繊維の断面図(700倍)
また繊維の断面を見ると、中空になっていて、管を押しつぶしたような形をしていますので、軽くて保温性にもすぐれ吸湿性も抜群です。
綿繊維の形態(左図:側面 ・ 右図:断面)
また繊維の先が丸いので、チクチクすることもなくデリケートなお肌でもやさしく包んでくれます。
参考資料:「もめんのおいたち」財団法人:日本綿業振興会 より
お布団の素材の中でも、特に群れ感がなくお肌にやさしい…これが、昔から多くの人に愛されている「綿」の大きな特徴です。
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